9月7日朝日新聞山梨版に掲載されました(原文リンク)。全文引用します。
中部横断道住民アンケ 国集計に疑問の声
2012年09月07日
■賛否分けずカウント
八ケ岳南麓(なんろく)を通す計画がある高速道路「中部横断自動車道」をめぐり、国が地域住民を対象にしたアンケートの集計方法について、北杜市の「新住民」らが疑問を投げかけている。国土交通省は集計方法に問題はないとしているが、反発する住民側は、国が6月に公表した「高速道が適切」とする中間とりまとめの撤回を求めている。
国交省によると、アンケートは法的な手続きに基づくものではないが、民意を反映させるために実施したという。1~2月、山梨、長野両県で回答用紙約9万5千部を郵送するなどした。道路計画をめぐって、(1)4車線の高速道路整備(2)旧清里有料道路の一部利用(3)計画区間にほぼ平行して走る国道141号の改良(4)新たな道路は整備しない――という4案について記述式で回答を求め、1万9892件が寄せられた。
国交省は集計の際、どの案に対する意見が多かったかを見るためとして、賛否に関係なく意見を記述した項目を地域ごとにカウント。北杜市の郵送分の場合、回答者に対する各項目への回答割合は(1)31%(2)46%(3)33%(4)8%だった。
集計結果は、国交省が公共事業の計画段階で第三者の意見を入れるために設けた社会資本整備審議会の4月の小委員会で示され、複数の委員から「数字のところに巨人ファンとアンチ巨人をいっぺんに入れるようなもの」「こういう整理はあまりされない方がいいのでは」と異論が出された。
国交省甲府河川国道事務所は取材に「4択ではない。あくまでも個別の対策の把握が目的。賛成、反対の集計は予定していなかった」と説明する。国交省は6月、反対意見があることを付記したうえで、「高速道路の整備が有効であると考えられる」とする中間とりまとめを公表した。
こうした経緯もあって、「高速道路通過は環境破壊と地域経済の損失を引き起こす」と主張する新住民らが反発。中部横断自動車道八ケ岳南麓の会、北杜市別荘所有者の会、レインボーの会、八ケ岳南麓を通る中部横断自動車道に反対する湧水(ゆう・すい)地区の会の4団体が8月30日に上京し、国交相あてに中間とりまとめの白紙撤回を申し入れた。
アンケートをめぐっては集計方法に加え、すでに高速道路が開通している長野県佐久市への郵送数が北杜市のほぼ2倍だったことや、別荘所有者にアンケート用紙が配られていないことも住民側は問題視する。
これに対し、甲府河川国道事務所は取材に「(封筒に住所や世帯名を明記しなくても届く)日本郵便の配達地域指定郵便物で一斉配布した。佐久市は郵送登録数が北杜市より多かった。別荘所有者は登録されておらず、意図的に送らなかったのではない」と説明している。
南麓の会代表で東京都内で会社を経営する米田佳孝代表(64)=北杜市高根町=は「国が政策決定に民意を反映するため設けた小委員会が中部横断道では機能していない」と批判する。
県議会と北杜市議会は3月、基本計画段階にあるルートを、着工のゴーサインを意味する整備計画路線へ格上げすることを議決している。(田村隆)
【9月8日追記:記事スキャナー版を追加しました】
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