2012-07-10

7月8日意見交換会における中部八南の会意見発表原稿

 7月8日の意見交換会(長野県南牧村中央公民館)における中部八南の会齋藤一紀世話人代表の意見発表原稿を掲載します。



2012年7月8日中部横断自動車道 意見交換会 意見発表原稿
齋藤一紀


1、国交省は、これまでの事業の進め方・行動を反省すべきである。

・第1回アンケートの内容は、高速道路建設が前提の内容で、公平性・中立性を保っていませんでしたし、事前の話し合いでの内容変更の要望にも応じませんでした。
・アンケートの配布方法も、行政区に加入している世帯だけに、回覧板を利用して1部を配布するだけで、非常に限定的でした。
・また、第1回アンケート用紙を配布する前から、第2回アンケート案を用意しているなど、最初から高速道路建設ありきの姿勢で、非常に作為的です。
・ 第2回アンケートに際しては、アンケートの配布方法は、アンケート用紙の配布部数を山梨県側は、厳しく限定して、広く市民の声を集める活動を妨害し、人口 の20%を占める別荘所有者にはアンケート用紙を配らないなど、地域住民の意見・考えを聞こうとする真摯な態度が全く見られませんでした。
・アンケートの集計においては、都合の悪い結果を作為的に操作するなど、その行為は中立・公正であるべき本来の行政の姿勢からかけ離れており、信頼できる状況ではありません。


2、北杜市内の八ヶ岳南麓に高速道路を建設しなければならない理由が、全く不明確である。

・八ケ岳南麓に高速道路を建設したいという理由は何なのでしょうか。
・国交省はもちろんのこと、山梨県・北杜市などの行政から、私たち地域住民は第1回アンケート調査以前に、中部横断自動車道についての情報・説明を受けたことは一度もありません。
・このように、これまでに私たち住民に対して全く理由も説明もしていない現在の状況下で、「中部横断自動車道をどこに建設するか」という議論は、あまりにも時期尚早ではありませんか。
・今、中部横断自動車道の建設を急ぐ必要は全くないと思います。何度も地域住民の意見・考えを聞く機会を設け、時間をかけて十分な検討を重ね、将来に禍根を残さないよう、慎重に対応すべきでしょう。
・八ヶ岳南麓の自然景観は世界に誇れる日本の財産であり、より良い形で後世に残す必要があるのです。
・近年、その八ヶ岳南麓には、豊かな自然環境や理想的な居住環境を求めて、都市部から転居してくる多くの移住者と、非日常生活を楽しむ多くの別荘所有者がいます。その移住者・別荘所有者による税収や経済活動は、地域への経済効果が非常に大きいのです。
・都市部に人が集中し地方の人口が減少している昨今、北杜市の人口がほぼ横ばいに留まっている理由は、この八ヶ岳の自然と景観が移住者を引きつけているからなのです。
・この中部横断自動車道の計画を立てた頃と現在とでは、特に建設予定ルートに、多くの移住者と別荘が建設されていますので、状況は激変しています。
・北杜市内の別荘数は、北杜市の全世帯数約2万軒の3割以上になると思われます。
・八ヶ岳南麓地域に高速道路を計画することには、多くの危険と困難が待ち受けていることを認識すべきでしょう。
・高速道路の建設が決定すれば、多くの移住者や別荘所有者はこの地から逃げ出すことになります。その結果、八ヶ岳南麓地域は過疎地となり、地価は下がり、観光客は通過し、地域経済が疲弊することは明らかなのです。
・移住者や別荘所有者の生活環境を破壊して高速道路を建設することには、大きなリスクを伴うことを認識すべきです。
・目先の利益を追い求めることなく、長い目でこの地域のことを考えた場合、八ヶ岳南麓の観光業や地域の活性化にとっては、高速道路はデメリットばかりで、間違いなく負の遺産となるでしょう。


3、国交省の現在の計画には無理がある。

・予定路線である川俣渓谷の深い谷に、長い橋を架けて、非常時の代替道路として利用しようとする計画は、余りにも危機管理の配慮に欠けており、いざと言う時には役に立たない計画になると思われます。
・また、清里高原道路は勾配がきつく、霧の発生も多く、冬季は凍結するなど、高速道路として利用するには安全性を確保できないと思われますので、不適格と判断しております。
・現在の清里高原道路は、通行料金が無料化されて以来、非常に便利な地域の生活道路として、毎日のように多くの住民が利用しておりますので、この道路を高速道路として使用することには断固反対をいたします。


 4、八ヶ岳南麓に高速道路を建設することは断念すべきである。

・国道141号を改修し災害に強い道路とすることは、地域住民の利便性が格段に向上し、国道沿線の経済活動も活性化されます。
・高速道路を建設すれば、八ヶ岳の観光地は通過型となり、観光業を主とした地域経済は大きな打撃を受けると大多数の観光業者は考えています。八ヶ岳南麓にとって高速道路にメリットはありません。
・目先の利益を追い求めることなく、長い目でこの地域のことを考えた場合、八ヶ岳南麓の観光業や地域の活性化にとっては、高速道路はデメリットばかりで、間違いなく八ヶ岳南麓の負の遺産となることでしょう。
・高速道路を繋げることがどうしても必要だと言うのであれば、八ヶ岳南麓の計画は断念して、新たなルートを検討したらいかがでしょうか。
 私たちは高速道路計画の全てに反対をするつもりはありません。


 5、関東地方小委員会への要望とお願い

 関東地方小委員会の委員の方々には、是非、現地視察を何度でも行っていただき、現地の状況を的確に把握していただきますよう、要望いたします。
・現地を一度も見ず、十分に理解していない状況で、高速道路建設計画を承認するような判断をして欲しくはありません。
・高速道路の建設を急ぐ必要はないと思いますので、今後も更に慎重な議論を重ねていただき、今の時代に即し、新しい価値観に基づいた、新しい公共事業のありかたのモデルとなるような結論を、是非、導き出していただきますよう、お願いいたします。

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