2012-09-01

「生活に支障」 笛吹・リニアトンネル工事 井戸や河川で渇水・減水 苦情相次ぐ 施工法人、原因調査と応急措置に奔走(2010年10月16日山梨日日新聞)

 少し前の記事になりますが、トンネル掘削による地下水の影響を報じた山梨日日新聞の記事です。


2010年10月16日(土)
「生活に支障」 笛吹・リニアトンネル工事
井戸や河川で渇水・減水 苦情相次ぐ
施工法人、原因調査と応急措置に奔走

 笛吹市内で行われている山梨リニア実験線のトンネル掘削工事の現場周辺で、井戸水や河川の渇水・減水が相次ぎ、工事を手掛ける独立行政法人には、住民から生活に影響が出ているという報告が26件寄せられている。昨年発覚した御坂町竹居、上黒駒(戸倉区)以外でも確認されている。同法人は上水道接続や新しい井戸の掘削などの応急対応をしているが、工事との因果関係については、同町竹居を除き「調査中」。ただ住民は「着工後に水がなくなった」と工事の影響を指摘している。
 市内では、御坂町上黒駒などで、黒駒トンネル他工区(延長3100メートル)、御坂トンネル西他工区(同2800メートル)、御坂トンネル中工区(同2200メートル)のトンネル工事が行われている。独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」によると、2012年度中の完成を目指して08年度に着手し、現在の進ちょく率は4~7割程度という。
 同機構には昨年6月以降、住民からトンネル工事の影響について38件の申し出があった。このうち26件は、(1)自宅や地域で使っている井戸が渇水・減水した(2)池のわき水が減少している(3)農業用水に使っていた沢の水が枯れた-などだった。残る12件は今後の影響を懸念する内容だった。
 昨年発覚した、黒駒トンネル他工区の掘削現場近くの同町竹居も含まれる。約100世帯に飲料水を供給していた簡易水道の水源が枯渇し、同機構は水源の水をためる層近くを掘削したことが原因だったと、工事との因果関係を認めた。
 現在、市の上水道を各世帯に供給しているが、渇水した水源の水の層近くに新たな水の層が見つかり「供給するために水の通り道を作るためのボーリングに向けた調整をしている」(同機構)という。
 竹居以外について、同機構は「工事の影響が疑われ、住民に不便が出ている」と応急対応を実施。ただ工事との因果関係については「調査、検討を進めて工事完了までには整理したい」としている。
 黒駒トンネル他工区付近では、同市八代町竹居の門林地区9世帯が生活用水などに使っている井戸が今年1月ごろから減水。現在、機構の応急対応で市の上水道に接続しているが、同地区の60代男性は「工事前に井戸水が減ったりすることはなかった」と話す。同市御坂町上黒駒の若宮地区でも一部住民が生活用水などとして使っていた簡易水道が渇水したという。
 住民から水不足を懸念する声が出ている中、同機構は「日常的に水脈の観測を行いながら慎重に工事を進める。仮に新たな報告があった場合、地元住民に対し、きめ細かな対応をしていく」としている。

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