2012-08-28

第2回アンケートのうち、葉書回答16,371件全てに目を通した方の印象

 ご本人からお聞きしました。
 (回答葉書はこちら


(1)回答内容の全体的傾向

 a) 長野側の佐久、小海、小諸などのエリアの賛成の回答には、以下の内容が多い。

  • とにかく一日も早く着工・開通してほしい。
  • 八ヶ岳の景観や環境も大事だが、自分達の生命をより尊重してほしい(「国道141号の代替路がないために、特に3.11以降、常に生命の危険にさらされている」というのが主張)
  • 長野の気の毒な人々を救うために、山梨はどうして早々に進めることに反対するのか。既に決まったことであるからやってくれないと困る。
  • いったん始まった計画なんだから、とりあえず完了させることが大切。繋がらなければ高速道路の意味がない。
  • 高速道路は必要だが景観や地元の意見には十分な配慮をするべき。また須玉など、より南のコースを通らないことに対する違和感・不信感。


 b) 長野・山梨双方に共通した、世代による傾向の違い

  • 特に70歳以上の方々の意見には、『高速道路こそ文明の証』という意識を強く感じる。「生きているうちに一目、高速道路が通るのを見たい」「作るからには最高規格のものを」「孫の代まで自慢できるものを」「世界に誇れるようなものを」という口調である(実際にその高速道路を利用するかどうかは別問題のよう)。
  • 一方、長野県側でも20、30代の若者層は、「少子高齢化で、しかも若者の車離れが進む中、今更作っても誰も走らない」「どうせこの事業も借金で、そのつけは国民の負担になる」と概ね冷静で客観的な意見が目立った。


 c) 回答を読んだ印象

  • アンケート回答を読んでいて気になったのは、「どうせ作るならば」という言い方が多かったこと。つまり、建設することが前提となっているアンケートなんだと考えて回答する人が多いことを意味している。こうした人の中には、賛成か反対かと聞かれたら反対だ、という人もいるはずだが、そのような意見を拾う設問はそもそも設けられていない。
  • 長野側は、全体的には、「命の道」であり必要である、という意見が大勢であるが、それでも、アンケートの対象となった案2ルート(旧清里有料道路を活用したルート)は高低差・急カーブで怖いし遠回りだし理解に苦しむという意見が多い。
  • ハガキを読む限り、災害・医療の点から、このエリアの人々は非常に強い生命の危機を感じており、3.11以降、「次は自分達の番」という感じで逃げ道としての高速道路を強く望んでいるようである。311東日本大震災は、これらの地域の人々にとっては、税を節約するきっかけではなく、より強く早く高速道路の建設を要求するきっかけになったように感じられた。そして「自分達は本当に『陸の孤島』に生きていて、少子高齢化に伴い過疎化も進み、この道路が出来なければ、生きていくことすらままならない。せめて次の世代のころには、後世に自慢できる立派な高規格の高速道路を作って、地域振興を支えてほしい」という内容が多く、横断道の全線開通により、この地域の人口流入が見込めると確信している人は多いようである(ただ、高速道路ができれば、なぜ人口が増加し過疎化に歯止めがかかるのかについては、今回のアンケートハガキからだけでは判明しない)。
  • 全体的に、高齢者を中心に、高速道路というものへの強い憧れがあり、単に高速道路を走ってみたいから早く作ってほしいと読めるようなものすらある。


(2)個別事象

 a) ルートについて

  • ルートについて違和感を抱いている人は、山梨・長野に共通して多い。長野側でも、「どうして八ヶ岳PAでつながるのか? なんでわざわざ遠回りするのよ? 須玉とか双葉あたりで接続できるようにしてほしい」という感じである。須玉・双葉あたりで接続するという条件付きなら賛成という意見も、それなりの数があった。
  • 案2、つまり旧清里有料道路利活用に賛成する人のほぼ全てが、全線新たな建設に比べてコストが削減できるならやむをえず賛成、という意見で、できればあの道は怖いから走りたくないという考えである。また、旧清里有料道路利用に関わらず、非常に高低差の激しい道路となるが、冬季の対策とか本当に大丈夫なのか心配するコメントが多かった。
  • 北杜市側の回答に多かった、単に「②」(=案2・清里有料道路利用に賛成)とだけ書いて何のコメントも記さない「不自然な」大量の回答に比べると、長野の人の方が、上記の点では、はるかに現状を理解しているようにすら思える。
  • なお、アンケート回答はがきは全てナンバリングされており、国交省側への到着順になっているが、北杜市の回答者の最後の数百名の賛成派、特に案2を選んだ人は、何の意見も書かず、単に「②」(=案2)と記すだけの傾向が目立った。
  •  一方、北杜市で道路反対の人の大半は、質問2及び質問3の回答欄において、道路反対の理由を述べている。


 b) 回答者の属性判定

  • 開示されたアンケートはがきを見ると、「住所」欄に「町」の名前まで書き入れた場合は、「XX町」の部分は黒く塗りつぶされている。国交省としては単に個人情報の保護を意識しての措置かと思われるが、これにより「山梨県北杜市大泉町」と書いた場合は、「山梨県北杜市」までが表示され、最後の「大泉町」は黒く塗りつぶされる。それは集計上問題はないが、もし「北杜市」を書かずに「山梨県大泉町」と書いたら、「大泉町」は塗りつぶされるので、「山梨県」とだけ表示される。これでは北杜市住民であることが確認できないため、集計の上では北杜市の回答には入れられない。

0 件のコメント:

コメントを投稿